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不思議コラム    〜東三河エネルギー研鑽会の日常 番外編〜

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(8)屈筋と伸筋

 

 

「発勁の科学/ベースボールマガジン社」という本があります。“謎の打撃法ハッケイとは?”“強打・長打の謎を解く!”といった内容の本なのですが、ここに書かれている「伸筋と屈筋」の筋肉の話がとても面白いです。サッカーや野球、オリンピックや各種スポーツの大会などを、この筋肉の働きを踏まえながら、外国人選手と日本人選手の体の使い方を観察してみると、また違った視点でスポーツが楽しめるかと思います

 

「伸筋と屈筋」。筋肉には伸ばす働き(伸筋)と曲げる働き(屈筋)がありますが、簡単に大きく分けると、日本以外の外国人は伸筋が優位の動作をして、日本人は屈筋が優位の動作をするということです。

 

【伸筋と屈筋の動作の違い】

●のこぎりを使う時、日本人は引いて切るが、外国人は押して切るのが主である。
●剣を使う時、日本人は引いて切る(日本刀)が、外国人は腕を伸ばして突いて使う(フェンシング)のが主である。
●畑や土を耕す時、日本人は引いて掘る(鍬)が、外国人は押して掘る(スコップ)のが主である。

 

代表的な例としてこのようなものがあります。これは、外国人は腕を伸ばす力(腕伸筋力)が強いため、仕事をする時は自然と押してするようになるということで、日本人は腕を縮める力(腕屈筋力)が強いため、力仕事は引いてするようになったということです。

 

【なぜ、外国人は腕を伸ばす力が強くて、日本人は腕を引く力が強いのか?】

●床に座り込む生活は、腰が丸くなりやすく、腰や背中を丸めると、腕は縮むため、腕を強く引くことができる・・・これが日本人。

 

●椅子に腰掛ける生活は、腰を伸ばしやすく、腰や背中を伸ばすと、腕は伸びるため、腕を強く伸ばすことができる・・・これが外国人。

 

こういった姿勢の差は、「床に座り込む生活と椅子に座る生活」、いわゆる生活様式から来ているということなんですね。

 

●日本人が人を呼ぶポーズは、腕が屈曲している(曲げる動作が優位)ので、「おいで、おいで」と招き猫のポーズをする。

 

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●外国人が人を呼ぶポーズは、腕が伸びている(伸ばす動作が優位)から、手のひらを上向きにして「Come On!」とやる。

 

このような動作の違いもみられ、「外国人と日本人の力仕事や細工仕事の動作はさかさま」なことが多いようです。

 

【屈筋優位のスポーツ】

相撲、柔道

 

【伸筋優位のスポーツ】

打撃(パンチ)、蹴る、打つ(バッティング)、体操、乗馬などなどの西洋のスポーツ全般。

 

屈筋と伸筋では、伸筋の方が明らかに、無駄な動きやエネルギーを使わず大きな力が出せるのです。ボクシングのパンチでも、腕を後ろに大きく引いて、まるで大きな力の溜めを作るかのようにして、パンチを打つより、そのまま伸筋の力を出すように、スッと腕を伸ばすと、打撃力の強いパンチが打てるそうです。

 

また、戦争の時、日本人兵士は射撃が下手だと外国人兵士の間で言われていたとか。「屈筋=緊張=ここぞの時に外す」ってことのようです。銃のトリガー(引き金)を引く時に、指は屈筋で、ここで大きな緊張(過剰な力み)が入るのが日本人でしょう。

 

ココ一番の大舞台では、体の力を抜きリラックスして臨みなさいといわれるのは、力むといいパフォーマンスが出来なくなるということのようです。

 

アレコレ色々といいましたが、まあ、日本人は世界的にも珍しい“屈筋民族”なんだそうです なんと、ピグミー、ホッテントット、日本人以外は、ほとんど伸筋優位の民族だとか人相学的に似ているといわれる中国や朝鮮半島の人々は直立した体形なので、どうやら微妙な生活様式の差があるようです。

 

恐るべし平たい顔族日本人!世にも珍しい屈筋民族でもあったとは・・・(>_<)

 

【歯を食いしばるのも屈曲筋】

NHKで放送された「ためしてガッテン」で、歯を噛みしめていると、肩こり、頭痛、腰痛、めまいなどなど、体の不調を起こす原因となるといっていました。

 

体の一部の屈筋を使うことで、なんと体全体の屈筋に影響が及びます。歯を噛みしめる筋肉、咬筋は屈筋なので、咬筋を使うと体中の屈筋が反応し、縮む力が働き、前屈がしやすくなるということです(番組冒頭でティッシュを数秒噛んでいたのがこれ)。

 

しかし、長時間咬み続けると、屈筋の影響がマイナスに働き、筋肉は萎縮し、腰が伸ばしにくくなり腰痛になるといったことも起きてきます。肩や頭も緊張しリラックスもできません。

 

2012年のロンドンリンピックの女子体操平行棒。日本の鶴見選手の演技を、スローVTRでみた時に、手を離した技から鉄棒を掴みにいく時に、目をギュッと思いっきり瞑っていました。顔面が緊張した状態だと、おそらく屈筋が優位になってしまうので、体や手足にどこか緊張が入り、しなやかな動作ができず、いいパフォーマンスが発揮できないのではないかと思います。

 

一方、優勝したロシアの選手は、手を離した大技でも、目をしっかりと開けて鉄棒を掴まえていましたし、体操男子個人総合で金メダルを獲った内村選手は、空中で回転している姿勢で、口が開いていました。

 

大舞台でいいパフォーマンスが出来るか出来ないか、いい成績が出るか出ないかの差はこんなところにもあるのかもしれません。

 

【屈筋だけを鍛えてしまう筋トレは間違っている】

筋トレで伸筋を鍛えるのは難しいらしいです

 

日本人が筋トレをやると、どうしても屈筋を意識しすぎて鍛え過ぎてしまうらしいので、かえって筋トレでバランスを崩している人もいるのではないかと思います。

 

メジャーリーグに行った日本人選手が、やたらとガムを噛んでいる姿もあまりお勧めできないと思います。ガムを噛むことで唾液が出て、リラックスすることを狙っているようですが、噛み過ぎているようにしか見えなくて、かえって体の屈筋が優位になり過ぎて、よいプレーが出来ないのではないでしょうか。外国人がガムを噛むメリットとはちょっと違うような気がします。

 

 

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2012年ロンドンオリンピックでみた柔道】

ロンドンオリンピックの柔道では、袖を取られたくない外国人選手が、腕を下にまっすぐ伸ばすようにして、掴まれた袖を振り解こうとする姿を多くみかけましたが、伸筋が優位な外国人には一番効率よく振り解くポーズなのでしょうか。しかし、この伸筋が効いているポーズに対して、屈筋を使って引き寄せようとしても、伸筋の力には敵いませんので、お互いが腕を下に伸ばしたままの状態で時間ばかりが過ぎていき、日本人選手は無駄に体力を消耗してしまったようにみえました。こうしてスタミナをロスした日本人は、後半にポイントを取られて負けていきました

 

柔道というのは、屈筋優位な日本人にあった武道なので、同じ日本人同士でやっているだけなら、こういう問題は出てこないのだろうけど、スポーツ化されて外国人が参加するようになり、日本人選手の成績が年々振るわなくなってくるのも「屈筋VS伸筋」の問題にあるのかもしれません。

 

【身近な伸筋と屈筋】

スーパーでお買い物をして、重たい荷物でいっぱいのレジ袋を持った時のことを想像してみてください。

 

●腕を曲げて肘のあたりにレジ袋を下げて持つ。

●腕を伸ばして、指先でレジ袋をひっかけ、袋を吊り下げるように持つ。

 

さて、どちらが長時間持つことができるでしょうか。腕を伸ばした方が、断然ラクに持つことができます。身近な例ではこんな感じです。

 

さて、屈筋優位な平たい顔族日本人とはいえ、最近では、生活様式が欧米化してきて、椅子やベッド、洋式トイレの生活が多くなってきたので、以前ほど屈筋民族ではなくなってきているのかもしれませんね。スポーツ選手の世界的な活躍が多くみられるようになってきました。

 

とはいえ、放っておくと日本人は、すぐに力みます。頭でリラックスと思っていても、つい屈曲筋が働いてしまいます。外国人も力みますが、それでも伸筋が優位なので、かえってバランスがとれていいのかも?

 

【おまけ】

かのスプーン曲げも、このハッケイの力を意識して気のエネルギーを使うと、スルッと簡単にできるのでした。タネあかし

 

東三河エネルギー研鑽会の日常 201288日ブログ記事より>

 

 

 

 

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